不確定なベクトル量

昔の私が書いていたというブログというものを、今の私もしてみようと思って、書いている。

majikoさんへの返事

初めまして.コメントありがとうございます.

結論から申し上げますと,どちらがいいという判断は僕にはできません.

お子さんの人生に関わることですので,最終的にはお子さんの意見を尊重するのが,誰にとっても後腐れないと思います.

ですが,いくつか思うところはあるので,それについてはいくつか述べさせていただきます.判断材料になれば幸いです.長文ですが,ご容赦ください.

 

まず,僕についてですが,僕の場合は親からしきりに高専を勧められていた覚えがあります.高専という学校を知ったのも親からだったと思いますし,とりあえず高専オープンキャンパスには行ってくれと言われたのは覚えています.

僕はオープンキャンパスのとき,「ここで勉強したい」と思って高専受験を決意しました.個別指導の塾に通っていたので,カリキュラムも高専受験用で勉強を進めていました.

しかし,塾の先生からは普通高校に通った方がいいと言われていましたし,実際,授業で公立高校の問題も解いていました.

中学校の担任からはどちらがいいとは言われなかったと思います.

結局,高専に進学し,大学に編入学するのですが,親の勧めは正しかったと思いますし,一方で塾の先生の言い分も正しかったと思います.

 

次に,大学入学へのルートですが,高専→大学と高校→大学は一長一短だと思います.

やはり高専は「エンジニアを育てる学校」なので,最初から大学を目指して入る人には生活しづらい学校かと思います.最初から大学進学を考えている人はわずかしかいません.

自由な校風ゆえ,それに憧れて入学してくるような人もいますし,低学年の時は授業時間も少ないですので,みんなやりたい放題やっています.

勉強するのはテスト前だけ,授業外の勉強なんてもってのほかという空気があって,昼休みに勉強するのがつらかった記憶があります.

その点,普通高校ではみんな大学進学を目指しているので,多少の自習は何とも思われません.むしろ切磋琢磨して勉強していると思うので,高専生とは比べ物にならないくらい勉強はできるようになります.ここは大きいと思います.

 

では,高専の強みは何かというと,そのカリキュラムにあります.

高専は高校と違って学習指導要領がないので,生徒(高専や大学では学生)に対して何を教えてもいいのです.つまり,低学年の時から大学の内容を教えてもいいのです.

これは僕の意見ですが,高校で習う理科の内容,特に化学や物理は,無駄な内容が多くて,むしろ大学の内容を先に教えてしまった方が,理解もしやすいし,一生涯使えるので,この点は高専の方が有利だと思います.

高校生は”受験用の”化学や物理を”受験のために”3年間勉強していますが,高専生は”一生涯使う”化学や物理を5年間学ぶので,ここは高専の大きなアドバンテージだと思います.

また,高専では実験が多く,さらに5年生の時には卒業研究という”研究”をやります.実際に実験を行ったり,結果についていろいろ考えたりする経験は,これもまた理系の道を進むにおいて貴重な経験になります.

大学での学生実験は,高専での学生実験と比べてだいぶ緩いですので,やはりこれも高専のアドバンテージだと思います.

 

受験に関してですが,おそらく誰もが編入試験の方が楽だと思っているはずです.

実際,一般入試だとセンター試験(理系科目だけでなく文系科目も)を経て二次試験があるのですが,編入試験だと二次試験だけです.試験内容も編入試験の方が簡単だと(僕は)思います.

しかし,上位の大学を受験する場合,編入試験では高専での成績がある程度良くないと受けられなかったりします.旧帝大だと大体クラスでの成績が上位1~2割に入っていないと受験できないと思ってください.

 

勉強内容については,高校生は理系の内容だけでなく文系の内容(英語も含む)もちゃんと勉強しているので,大人になった時に高専生と差が出てくると思います.僕も今痛感していますし,おそらく塾の先生たちが普通高校に行った方がいいと言っているのは,幅広く万遍なく勉強した方が後々いいからだと思います.

編入の方だと,試験問題が「大学2年相当の勉強ができるか」を見るものなので,合格できるということは大学2年までの勉強がちゃんとできるということになります.つまり,(失礼ですが)大学で,一夜漬けで試験を乗り切ってきた人よりは勉強ができることになります.

また,編入の場合は編入試験用の塾がありませんので,自分で勉強する必要があります.

 

大学生活についてですが,大学生は入ってすぐに自由が与えられます.高専では高校1~2年の時に自由が与えられて,高校組は大学1~2年で自由が与えられると思ってください.

高校組は低学年時の気分が抜けずに3年に上がってしまいますが,高専生は3年から入学なのでやる気がある場合が多いです.

 

しかし,僕は高校→大学の最大のメリットは「大学1年から入学できること」にあると思っています.

高専生は高校1~2年の時に自由が与えられ,高校組は大学1~2年で自由が与えられると述べましたが,個人的な見解では大学での2年間の方がよっぽど有意義だと思います.

高専で自由が与えられてもやれることはたかが知れていますが,大学だと旅行にしても,部活やサークルにしても高専と比べてスケールが違います.九州一周をバイクでやる人もいれば歩いてやる人もいますし,語学勉強の成果を試すためにその国に旅行したりする人もいます.部活やサークルも大学だと国内各地の大会に参加しているようです.

人生での自由な時間をどう使ったかでその後の人生に大きく影響してくると思いますので,この点は重要だと思います.

また,大学3年からだとクラスやサークルなどに馴染むのが難しい場合があります.僕の場合はクラスには何とか溶け込めましたが,サークルに関しては難しそうだったので最近は顔を出していないです.さらに内部生の中には大学受験の辛さを知らずに3年から突然入ってくる編入生が気に食わないという人もいます.そういう人とは仲良くなれないと思います.加えて3年次編入だと他の学部の人との交流がほとんどないので,他学部の友達を作るのが難しいと思います.人生において人脈(というか人と人との出会い)も大事ですので,ここの折り合いをどうするかも編入するかどうかの決め手になってくると思います.

 

長くなってきましたのでまとめに入りたいと思います.

一概にこうだとは言えませんが,やりたいことがあって,それに向かって一直線で勉強するのであれば高専,幅広くいろんなことに取り組んでいきたいのであれば大学といった感じかなと思います.

どの経路をたどっても就職時に影響は出ないと思います.一般的に(企業だと)学歴は(高校や高専ではなく?)学部時代の大学を見ているらしく,また面接では人柄を見ているそうです.

ただ,どちらにせよ,科捜研を目指すのであれば,誘惑に負けずにそこそこの勉強はやっていく必要があるとは思います.

あとはご長男の学校生活や,高校から大学に入った人の話を聞いて総合的に考えてもらえればいいと思います.

回答としましては,無理ではない,という回答になると思います.あとは本人の適性によると思います.

 

K高専の生化もM高校もどちらもレベルは高いので,高校受験頑張ってください.